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   放射線科

Flat Panel Detector の NEQ(u)測定

 無線タイプのカセッテサイズのFPD(Flat Panel Detector)を使用する機会があり、NEQ(u)を測定してみました。シンチレータの素材が、ガドリニウムオキサイドサルファ(GoS)とヨウ化セシウム(CsI)の2機種(同一メーカー製)です。以下、前者をGOS、後者をCSIと呼びます。

MTF




矩形波チャート(Funk Type-1)法にてMTFを求めました。

【 対象画像 】

矩形波チャートの撮影画像の一例を右に示します。

FPDは半切サイズ(左の画像の黒い部分の辺縁)ですが、照射野は4ツ切り大(左の画像の白い部分)としました。照射野の右下の構造物の写りこみは、X線照射時の線量をモニタするために配置したチェンバーです。

画像のピクセル間隔とマトリックスサイズ :

    

* 以下、画像の左右方向を”X方向”、上下方向を”Y方向”とします。

* 自作ソフトを用い、同一アルゴリズムにてMTFを計算しました。(そのソフトについて) 





【 自作ソフトによる計算例 】

左上のグラフは、GOSのMTFを求めたものです。緑色の点が、矩形波チャートの周波数毎の測定点です。赤色のカーブは、それらをフィッティングしたものです。
低周波域で、MTFが1.0より高い領域があります。

左下の図は、GOSの矩形波チャート像のマルチアライメント操作後のプロファイルです。あきらかに、矩形波のエッジで、アンダーシュート、オーバーシュートが発生しています。また、0.05lp/mmの振幅より、0.5lp/mmの振幅の方が大きいのも確認できます。

この計算例より、GOSのMTFにおいて1.0を超える領域があるということが、妥当だと考えました。もちろん、装置内で画像フィルタ処理が行われているのかもしれません。
また、スリット法やエッジ法では、MTFが1.0を超える領域を有するシステムの評価は、原理的に困難だと思われるので、目的に応じ、矩形波チャート法を用いるべきでしょう。






【 結 果 】

結果を右のグラフに示します。

GOS :
・ 低周波領域で、MTFが1.0より、高い値を示しました。
・ X方向とY方向とでは、X方向の値>Y方向の値となり、僅かに差がみられました。

CSI :
・ MTFが1.0より高い領域はありませんでした。
・ X方向とY方向は、ほぼ一致しました。

・ GOSとCSIのMTFを比較すると、低周波域ではGOS.>CSI、中間域ではCSI>GOS、高周波域ではGOS.>CSIとなり、MTFカーブは、2度交差しました。

ウィナースペクトル




【 対象画像 】

対象の画像の一例を右に示しました。

FPDは半切サイズ(左の画像の黒い部分の辺縁)ですが、照射野は4ツ切り大(左の画像のグレーの部分)としました。照射野の右下の構造物の写りこみは、X線照射時の線量をモニタするために配置したチェンバーです。
照射野内の矩形ラインはウィナースペクトルの計算領域を示します。

・ X線照射条件 :

     

・ 画像のピクセル間隔とマトリックスサイズ :
      
     
.




【 計算条件 】

     

* 一連の計算には、自作ソフトを用いました。(そのソフトについて) 


【 結果 】

結果を右のグラフに示します。

GOS :
・ 低周波域ほど上昇する傾向がありました。
・ X方向とY方向とで差がみられました。
・ X方向では、複数のスペクトルピークがみられ、ストラクチャノイズと思われます。

CSI :
・ 低周波領域で平坦な分布となりました。
・ X方向とY方向とほぼ一致しました。

・ GOSとCSIのウィナースペクトルを比較すると、中周波域ではCSI>GOS、高周波域ではGOS.>CSIとなり、スペクトルカーブは交差しました。



《 GOS 》

【 FPD画像の均一性 】

ウィナースペクトル測定画像の均一性確認のため、ウィンドウ幅を固定して表示してみました。

・ GOSでは、構造的なパターンが含まれており、@ウィナースペクトルの低周波域での値の上昇、A複数のスペクトルピークの重畳、Bスペクトルカーブの形状が滑らかでないなどの原因と思われます。

・ CSIでは、GOSのような構造的なパターンはみられず、良好な均一性と思われます。



《 CSI 》

NEQ(u)


NEQ(u)は、次式にて求めました。

         

FPDの画像収集条件は、ダイナミックレンジ 4桁、Bits stored 12 なので、
          γ = 4095 / 4.0
としました。



【 GOSの結果 】

・ 全周波数域で、Y方向>X方向であり、中間周波数域でより差が大きくなりました。

・ X方向のNEQカーブは、ウィナースペクトルの複数のピークを反映し、オシレーションを持つ形状となりました。




【 CSIの結果 】


・ Y方向とX方向とも、全周波数域で、ほぼ一致しました。

・ NEQカーブの形状は、ほぼ直線で、周波数に反比例したものとなりました。

 



【 X方向の比較 】

・ 全周波数域で、GOSよりCSIの方が高い結果となりました。

・ 低周波ほど、差が大きくなりました。

・ GOSのNEQカーブは、ウィナースペクトルの複数のピークを反映し、オシレーションを持つ形状となりました。




【 Y方向の比較 】

・ 低周波数域CSI>GOS、中間周波数域でGOS>CSI、高周波域でCSI>GOSとなり、NEQカーブは2度交差しました。

・ 低周波ほど、差が大きくなりました。

・ 中間周波数域に限られたとはいえ、GOS>CSIとなりました。GOSのストラクチャノイズを低減することができれば、均一性の向上とNEQカーブの直線化が期待でき、CSIと同等かそれ以上の画質が得られるのかもしれません。

 

以上


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