X線CT・Emotion16が導入されました。Emotion16の画像再構成カーネルの種類が多く、検査部位や目的に応じた使い分けの指標となるものが必要となりました。そこで、頭部撮影条件におけるCT画像のウィナースペクトルを測定してみました。
方 法 |
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1.円柱状の水ファントムの横断像を撮影 2.画像中央の均一な領域にROIを設定 2.ROI内を多数のセグメントに分割 3.セグメントのそれぞれについてフーリエ変換、パワースペクトルを求める 4.パワースペクトルを面積で規格化、ウィナースペクトルとする 5.全ウィナースペクトルの加算平均し、求めるウィナースペクトルとした *一連の計算を、自作ソフトにて行いました。統一した条件で容易に計算可能です。(そのソフトについて) |
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水ファントムを撮影しました。
左図は、使用した装置付属のマルチセクションファントムファントムの外観です。@が側面、Aが正面、Bが撮影時のものです。赤い矢印のセクションが水ファントム部です。 |
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FOVを190mmとし、同一Rawデータを用い、画像再構成カーネル毎の均一像を作成しました。左の画像は、H40sのものです。 中央部のCT値は、-2HUでした。 |
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ウィナースペクトルの計算 自作ソフトにより同一条件、アルゴリズムにて、計算を行いました。 |
セグメントサイズと窓関数 |
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計算精度の確認のため、セグメントサイズ以外の計算条件を一定とし、 |
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【
セグメント幅の依存性 】
セグメント長を64ピクセル一定とし、セグメント幅を2〜32ピクセルの範囲で変化させ、比較した。 ・
セグメント幅が狭いほど低周波域のウィナースペクトル値が低くなった |
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【
セグメント長の依存性 】
セグメント幅を16ピクセル一定とし、セグメント長を8〜256ピクセルの範囲で変化させ、比較した。 ・
各セグメント長とも低周波域(0.4cycles/mm以下)では一致した |
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【
ハミング窓関数使用時のセグメント長の依存性
】
ハミング窓関数を組み込み、セグメント幅を16ピクセル一定とし、セグメント長を8〜256ピクセルの範囲で変化させ、比較した。 ・ セグメント長64以上で、全周波数域でスペクトルカーブの形状が一致した。
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測定結果 |
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画像再構成カーネルの違いが、MTFカーブの形状の差として評価ができます。使い分けの指標にすることができそうです。 |
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H31sとH37s間には、MTFの5.0cycles/mm以上で差がみられましたが、ウィナースペクトルにおいても、同様の傾向が確認できました。 |
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【H30番台のMTF】 |
H30番台は、解像特性および雑音特性に大きな違いは見られませんでしたが、水ファントム画像を比較するとH32sのみカッピング効果が比較的強く現れていました。 H30番台の4枚の表示条件: |
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MTF同様、番号の順にウィナースペクトル高くなるというわけではないようで、注意が必要です。 |
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【H40番代のMTF】 |
H40番台の5枚の表示条件: |
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以上