X線CT・Emotion16が導入されましたが、画像再構成カーネルの種類が多く、検査部位や目的に応じた使い分けの指標となるものが必要となりました。そこで、腹部撮影条件におけるCT画像のMTFを測定してみました。
金属製ワイヤーの横断像を撮影し、その点像強度分布(PSF)から線像強度分布(LSF)を求め、そのLSFのフーリエ変換によりMTFを求めました。MTFを求めるための一連の処理を同じ精度で容易に行えるよう、プログラムを自作しました。(そのソフトについて)
頭部条件のMTFデータを以前アップしていました。腹部条件のMTFもその時に求めていました。腹部条件のMTFの問合せを頂いたので、今回アップすることにしました。
方法 |
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まず、ワイヤーファントムを撮影しました。
左図は、使用した装置付属のマルチセクションファントムファントムの外観です。@が側面、Aが正面、Bが撮影時のものです。赤い矢印のセクションがワイヤーファントム部です。ワイヤーは樹脂と思われる円柱体の中に封入されています。 |
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FOVを50mmとし、同一Rawデータを用い、再構成カーネル毎のポイント像を作成しました。右の画像は、H60sのものです。 使用したワイヤーファントムのワイーヤーの背景のCT値は、-24HUでした。
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自作ソフトを用い、同一アルゴリズムにてMTFを計算しました。 左の図は画像読み込みと計算領域の設定時で、上の図は計算パラメータの変更と計算結果の確認時の表示です。 |
測定結果 |
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おもな画像再構成カーネル毎の測定結果です。
画像再構成カーネルの違いが、MTFカーブの形状の差として評価ができます。使い分けの指標にすることができそうです。 |
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30番台のMTFを比較したものです。 大きな差はみられませんでした。 |
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40番台のMTFを比較したものです。 B40sとB41sはほぼ等しくなりました。 B46sは1.0(cycles/mm)で、MTFがあきらかに0より高く、解像力も優先した軟部条件に適しているものと思われます。 |
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解像力優先と思われる、B50s,B60s,B65s,B70s,75s,B80s,B90sを比較したものです。
それぞれ、特徴的なMTF形状となっており、画質の傾向が、カーネルの番号順とはならないようなので、MTFの把握が必要です。 |
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B46sとB50sの比較です。 B46s > B50s という結果になりました。番号順とはなりませんでした。 |
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B50s、B60s、B65sおよびB70sについて、MTF(上段)とLSF(下段)を比較したものです。 MTFについては、連続した番号のカーネルですが、4者ともカーブ形状が明らかに異なり、H60sとH65sでは交差する結果となりました。 LSFについては、ピークの大きさはカーネル番号順となり、アンダーシュートはB60sとB70sで発生していました。 |
. ・ X線CT・Emotion16の画像再構成カーネルは、種類が多く、番号で区別することになります。 ・ MTFカーブの形状は様々で、カーネル番号順に応じた変化はしておらず、MTFの把握は必須といえます。 ・ 高周波域のMTF値が高いほうが、LSFカーブのピークが高く、MTFが1.0を超える場合はアンダーシュートを持つという結果でした。 ・ 今回、20種の画像再構成カーネル毎のLSFとMTFを求めました。自作した専用ソフトを用いることで、ワイヤーファントム撮影およびMTF計算に必要となる一連の処理を放射線技師1名で容易に行うことができました。 . |
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以上