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   放射線科

画像の周波数スペクトル計算とフィルタ処理ソフト

 ディジタル医用画像装置(主にCT、MRI、CRなど)に組み込まれている画像処理パラメータを設定するときに、MTFやウィナースペクトル情報が有用です。さらに、画像とその空間周波数成分の対応を知ることができると、より合理的です。

私たちは、ディジタル医用画像について、2次元フーリエ変換、バタワースフィルタ処理により任意の周波数成分を切り出し、2次元フーリエ逆変換を行い、画像とその空間周波数成分の対応を評価しています。この一連の処理は煩雑になりやすいので、容易に扱えるソフトを自作しました。

 ダウンロード ⇒ cal2dfilter.zip

画像のフィルタ処理ソフトの簡易マニュアル



ダウンロードしたファイルを解凍してください。そのホルダの中には、
   ”cal2dfilter.exe” 
   ”chest 2904 3347 0p1.bin”
の2つのファイルが入っています。

”cal2dfliter.exe” を実行すると、左のウィンドウが現れます。

赤い矢印の”⇒”ボタンで、計算対象となる”chest 2904 3347.bin”のファイルを読み込みます。

下の小ウィンドウが現れるので、”OK”をクリックすると画像データが読み込まれます。

      

このウィンドウはDICOMメタ情報を持たないバイナリーデータの時にのみ現れます。
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次に、@の”Auto”ボタンをクリックすると、画像が表示されます。この時点では、ポジ表示です。

中央に表示された正方形ROIのサイズは256×256(ピクセル)です。

Aの”ROI size”のフィールド上にマウスカーソルを移動し、マウス右ボタンをクリックします。プルダウンメニューが現れるので、”512”を選択します。ROIサイズが512×512(ピクセル)で表示されます。

ROIは、その中央を左ボタンでクリックしたまま、ドラッグすることで、任意の位置に移動できます。


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右図の位置にROIを移動させます。

@の”Invert”のチェックボックスをチェックすることで、ネガ表示に切り替わります。

Aの”toFilter”のボタンをクリックすると、2次元空間周波数フィルタ処理ウィンドウに切り替わります。

 


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   切り替わった2次元空間周波数スペクトル計算処理画面です。


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@ ROIで切り出した元画像
A 元画像の2次元空間周波数パワースペクトル
B 適用するフィルタの2次元強度分布
C フィルター通過後の2次元空間周波数パワースペクトル
D Cのスペクトルの2次元フーリエ逆変換で得られたフィルター処理後の画像
E ”Graph”のタブをクリックで、AとBの2次元空間周波数パワースペクトルの原点を通る断面のカーブ表示、青が元画像、赤がフィルタ処理後、AとC上にその断面位置を表示
F ”Histgram”のタブをクリックで、元画像とフィルター処理後の画像のヒストグラムを表示
G Windowingスライダ、L側がLowerレベル、U側がUpperレベルを調整、スライダ上方の”L”または”U”の文字をクリックするとスライダの移動幅を変更、またLowerレベル、Upperレベルの数値を書き換え、”L”または”U”の文字クリックにても変更
H Filterの切り替え、LCF:ローカットフィルタ、HCF:ハイカットフィルタ、BPF:バンドパスフィルタの3種を選択
I ローカットフィルタのカットオフ周波数
J ハイカットフィルタのカットオフ周波数
K ローカットフィルタの次数
L ハイカットフィルタの次数
M カットオフ周波数とフィルタ次数を変更するアップダウンボタン、ボタンクリックでリアルタイム処理
N アップダウンボタンのスッテップ数の切り替え
O ”*”ボタンで、バンドパスフィルタの周波数幅を固定
P 元画像とフィルター処理後の画像のポジ/ネガ表示切り替え
Q Windowing対象画像の切り替え
   Raw:元画像
   Filterd:フィルター処理後の画像
   Power:元画像の2次元空間周波数パワースペクトル
   Filter:フィルター強度
   Convolution:フィルター通過後の2次元空間周波数パワースペクトル
R ”Zoom”のタブをクリックで、512ピクセル未満の画像は拡大して、512ピクセル以上の画像は、ビューワ表示ピクセルと等倍で表示
< その他 >
* 画像の右下の”BMP”ボタンのクリックで、表示画像をクリップボードへ
* 画像の左下の”Value”ボタンのクリックで、数値データをクリップボードへ
* フィルタの種類は、バタワース
* ピクセル間隔を1.0、単位無しにて処理、よってナイキスト周波数は0.5(cycles)
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ソフトの使用例


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【 MRIファントム像 】

@ 処理領域:オレンジ枠・128[ピクセル]×128[ピクセル]

A T2WI,TSE,Cartesian k-space trajectoryの2次元パワースペクトル 

B T2WI,TSE,non-Cartesian k-space trajectory(BLADE Coverrage100%)の2次元パワースペクトル

C T2WI,TSE,non-Cartesian k-space trajectory(BLADE Coverrage50%)の2次元パワースペクトル
  一つ一つのBLADE(刃)が認識でき,その枚数も数えられます




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【 頭部MRI・DWI像 】

@ フィルタ処理前

A ローカットフィルタ処理後

フィルタ処理後は、DWI独特のボケ感が低減


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【 下腿遠位部CR像 】

@ フィルタ処理前

A ローカットフィルタ処理後

フィルタ処理後は、骨折線の観察が容易に


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【 頭部X線CT像 】

@ フィルタ処理前:ウィンドウ幅 60

A フィルタ処理前:ウィンドウ幅 25

B ハイカットフィルタ処理後:ウィンドウ幅 25

フィルタ処理後は、ノイズが低減され、ウィンドウ幅を狭めて観察可

 


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【 胸部CR像 】

@ 処理領域:赤枠・512[ピクセル]×512[ピクセル]
  胸部像右横の図:赤枠の2次元パワースペクトルですが、左右端の暗い部分は、グリッド除去処理(GPR)によるものと思われます。

A フィルタ処理前

B ハイカットフィルタ処理後:ノイズが低減され、微細な構造が見易く

* A,Bは、等倍表示になるよう、320[ピクセル]×320[ピクセル]の範囲をトリミングしたものです。
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