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CTDI測定時の線量プロファイル
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【 Fig.1 】
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左図は、RTI Electronics
AB社の”Piranha”によるCTDI測定時の線量プロファイルカーブです。”Piranha”によるCTDI測定時の線量プロファイルは、ヘリカルスキャン下で測定します。ただし、結果は、テーブル固定、1ローテーション、コンベンショナルスキャンでの線量プロファイルです。
・0.6mm×16:
スライスコリメーション;0.6mm×16
・1.2mm×16:
スライスコリメーション;1.2mm×16
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○ 測定条件 :
・ CT装置 : Emotion16
・ 130kV、100mA
・ ローテーションタイム : 1.0sec
・ チェンバ位置 : ファントム中心
・ ファントム : 24cmΦ(アクリル製)
○線量プロファイルのFWHM (半値幅)
・0.6mm×16:
FWHM ;12.9mm
12.9 / (0.6×16) = 1.34
12.9 - (0.6×16) = 3.3(mm)
・1.2mm×16:
FWHM ;23.3mm
23.3 / (1.2×16) = 1.21
23.3 - (1.2×16) = 4.1(mm)
ファントム中心とはいえ、線量プロファイルのFWHMがスライスコリメーションを上回っていました。マルチスライスCTの宿命なのでしょう。
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マルチスライススキャンでは?
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【 Fig.2 】
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では、マルチスライススキャンの時には、どうなるのでしょう。
Fig.1のデータを用い、空間的に重畳加算することで、想定したスキャン条件下の線量プロファイルを求め、左図に示しました。
○ シミュレーション条件 :
・ CT装置 : Emotion16
・ 130kV、100mA
・ スライスコリメーション;0.6mm×16
・ ローテーションタイム : 1.0sec
・ ローテーション回数 : 1 〜 48 回
・ テーブル移動距離 : 9.6mm/ローテーション
各プロファイルカーブ上のオシレーションは、Fig.1の線量プロファイルのFWHMがスライスコリメーションを上回っているため、オーバーラップ部が上昇するためです。
ローテーション回数が増えるほど、プロファイルカーブのピークが上昇していきますが、24Rotと48Rotでは一致し、約20Rot以上でプラトーになるようです。
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ヘリカルスキャンでは?
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【 Fig.3 】
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同様に、ヘリカルスキャンについて求めてみました。
○ シミュレーション条件 :
・ CT装置 : Emotion16
・ 130kV、100mA
・ スライスコリメーション;0.6mm×16
・ ローテーションタイム : 1.0sec
・ ローテーション回数 : 1 〜 48回
・ ビームピッチ : 1.0
ローテーション回数が増えるほど、プロファイルカーブのピークが上昇していきますが、24Rotと48Rotでは一致し、コンベンショナルスキャンと同様でした。
1Rotと24Rotのプロファイルカーブピークの比は、約3.8倍となりました。
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1ローテーション時のコンベンショナルスキャンとヘリカルスキャン
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【 Fig.4 】
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1ローテーションのみのコンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンを比較しました。
・ CS : コンベンショナルスキャン
・ HS : ヘリカルスキャン (ビームピッチ1.0)
コンベンショナルスキャンと比較して、ヘリカルスキャンでは、ピーク付近で低下、1/2ピーク値付近で上昇、なだらかな裾部では等しくなりました。
今回の手法をとれば、こういった比較も可能になります。
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”Piranha”による測定結果(エクスポート・データ)を用い、計算シミュレーションにて、マルチスライススキャンおよびヘリカルスキャンの線量プロファイルを求めてみました。CTDIのみでは、その値同士の高低の判断に限られていましたが、今回の計算シミュレーションにより、諸条件下の線量分布を知ることができました。
CTコンソール上に表示される被ばく指標Dose-Length Product(DLP)は、定義上スキャン範囲に比例しますが、線量プロファイルのピーク値は、スキャン範囲に依存性を持つので注意が必要です。
Fig.1,2のとおり、マルチスライスCTは、スライスコリメーションよりビーム幅が広くなります。ビームピッチと呼ぶより、スライスコリメーションピッチと呼んだ方が適切ではないでしょうか。
なお、計算は自作ソフトで行いました ( CT線量プロファイルシミュレーション・ソフト
)。
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