CTDI(Computed tomography
dose index)とは、もともとCTの性能評価用の線量指標でしたが、CTの被ばく線量の指標としても用いられるようになり、定義の異なるCTDIが提唱されています。 |
|
CTDI測定の実際 @ 専用ファントム |
|
@ 測定に先立って、”Piranha”のコントロールソフトである”CT
Dose Profiler”をWindowsPCにインストールします。 通常のCTDI測定ではコンベンショナルスキャンでファントム中央を1スキャンしますが、”Piranha”ではヘリカルスキャンでファントム全長をスキャンします。 |
|
右の図は、今回使用した半導体ペンシルチェンバです。赤矢印部分に大きさ250µmの半導体センサが1個封入されています。 | |
線量計のコントロールソフト”CT
Dose Profiler”の画面です。線量プロファイルカーブを含む測定結果を1画面で表示できるようになっています。但し、グラフ表示できる線量プロファイルカーブは、1本のみで、グラフ上で2本、3本といった比較ができません。ただし、線量プロファイルカーブデータを含む測定結果と測定パラメータをXML形式でエクスポートしてくれるので、表計算ソフトでもグラフ化できます。
このソフトはLabViewという計測や制御向けのソフトで作成されていました。LabViewは汎用のプログラミング言語ではなく、テキストでの記述はほとんどありません。マウス操作で、いろいろな機能のコントロールアイコンを貼り付け、ラインで結んで関連付け、即実行という具合です。20年以上前、MS-DOSが現役の頃、LabViewをMac上で使用する機会がありました。”BASIC”と”C”の経験しかなかったので、異次元のソフトと思っていました。 |
|
|
《 ファントムを天板上に置くと 》 ・ CT装置:Emotion16 ・ 130kV、100mA、 ・ ローテーションタイム:1.0sec Head_0.6: Head_1.2: 最初の測定で驚いたのは、線量プロファイルカーブの歪みです。故障かなと思いました。 |
|
《 ファントムを天板の外に固定するには 》 天板の上にファントムを置かず、ヘリカルスキャンとなると、ファントムを天板の外へ出し、天板と共に移動させなければなりません。 そこで、考えたのが、 @ファントムをビニール袋に入れる。 Aビニール袋の口を紐で結ぶ。 B天板端にファントムをひっかけるようにする。 Cファントム長軸が水平になるよう紐の張りを調整し、天板に固定する。今回は鉛ブロックに紐を巻きつけ、ブロックを移動させることで、紐の張りを調整しました。 右の写真を参照してください。ファントムが天板の外に固定されています。 |
《 ファントムを天板の外に置くと 》 ・ CT装置:Emotion16 ・ 130kV、100mA ・ ローテーションタイム:1.0sec Head_0.6: Head_1.2: 線量プロファイルカーブの歪みは無くなりました。 線量プロファイルカーブの裾の広さは約200mmあります。CTDI100用のペンシルチェンバは長さが100mmなので、線量プロファイルカーブを積分した値より低めになることになります。 |
|
《 ローテーションタイムの違い 》 ・ CT装置:Emotion16 ・ 130kV ・ スライスコリメーション:0.6mm×16 Body_0.6: Body_0.6F: Emotion16は、ローテーションタイムを変更すると、管電流も応じた変化をするようです。これに気づかずに測定してしまいました。カーブの形状には差がありますが、CTDIはほぼ等しくなりました。ヒントは”まとめると”で。 |
|
《 機種の違い 》 ・ 130kV、100mA ・ローテーションタイム:1.0sec Emotion16: LemageSXEはシングルスライスCTでスライス厚10mm、Emotion16はスライス厚9.6mmです。線量プロファイルカーブのピーク幅は、LemageSXEの方が狭くなりました。どうしても、マルチスライスCTは、X線コリメーションが広めになってしまうようです。
|
|
”Piranha”を使用したところ、 @ 今まで、複数のTLDを一直線に並べ測定していた線量プロファイルカーブを、容易に、短時間で、精度良く求めることができました。 A 測定結果は、XML形式で取得できるので、応用がききます。 B 結果のグラフ表示の縦軸は線量率です。(測定例−3では、2つのプロファイルカーブの形状が異なるのに、CTDIが等しくなりました。ADコンバータのサンプリング周波数が等しいことをkeyとして考えてください。) C 常に、チェンバーコネクターの反対側からスキャンを開始していましたが、プロファイルカーブのピーク形状の歪みの傾向が一定しませんでした。測定に入る前に、対象となるCT装置のX線出力について、Angular dependenceおよびRotation symmetryを確認しておくべきだと思われます。 * CTの機種によっては、コンベンショナルスキャン時に体動補正と称して360度以上のスキャンをする場合があります。この場合は、従来の電離箱式ペンシルチェンバ方式測定器とは差が生じるものと思われます。 ひとり言 : |